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2017.08.13 編集長コラム

見えている人、見えていない人

先日、笑福亭鶴瓶さんと松嶋尚美さんのトーク番組『きらきらアフロTM』(テレビ東京系)を見ていたところ、興味深い場面がありました。

 

鶴瓶さんは、自分が仲間と一緒にカラオケに行ったときのエピソードを話していました。その途中でふと、話を止めて、観客席の最前列にいる1人の女性に向けてこんなことを言ったのです。

 

「大丈夫、自分?」

 

鶴瓶さんは、その女性の顔色が悪いのに気付いて、彼女に優しく言葉をかけました。そして、そのまま彼女を退席させたのです。松嶋さんと他のお客さんたちは、観客の1人の異変に気付く鶴瓶さんの鋭い観察眼に驚いていました。松嶋さんはさんは「よく分かったね」と鶴瓶さんを褒めたたえ、「いま恋したと思うで。そういうの嬉しいよね」と言っていました。

 

その後、鶴瓶さんは予定していたカラオケの話を中断して、ライブ中に観客の1人が急に倒れたときのことを話し始めました。その人が倒れた原因をあとから聞いたら「極度のストレス」だったそうです。俺の落語を聞いて度のストレスに陥ったんかい、というオチがつく。この話題の切り換えも見事なものでした。

 

この件を見ていて思ったのは、世の中には「見えている人」と「見えていない人」がいる、ということです。そして、お笑いの世界で名を成している一流と呼ばれている人は、見えている人であることがほとんどだと思うのです。

 

見えている人は、場の空気を読んで、そこにいる人が笑いたくなるような言葉を瞬時に繰り出すことができます。また、テレビの収録現場では、共演者やスタッフを含めたスタジオの隅々にまで意識を張りめぐらせて、異変があればすぐに対応する体制が整っています。

 

鶴瓶さんはそんな「見えている人」のトップレベルにいる人だと思います。鶴瓶さんの「鶴瓶噺」というライブに行ったときにもそれを思い知らされました。鶴瓶さんは矢継ぎ早にどんどんいろいろな話を繰り出していき、話題と話題のつなぎもスムーズで、一切のよどみがありません。その場の空気を読んで、その場に合わせた話題や話し方を選んでいるのでしょう。「見えている人」が達することのできる境地は、とんでもなく高い場所にあるのだなあ、と思いました。

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ラリー遠田
ラリー遠田

我らがオモプラッタ編集長、お笑い評論家「ラリー遠田」!

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